昨日、Gallery K(京橋)で開かれたシンポジウムは刺激的な内容だった。パネリストは、市原研太郎(美術批評家)氏と井口大介(美術家・※元TSA講師)氏。

市原氏からドクメンタなど大型グループ展で顕著に見られるアートシーンの変化を作品の紹介を交えて丁寧に解説してもらった。この変化の内容は、「アーチストの視線が、文化から社会に向かっている」とのこと。2010年頃から現れたと言う。美的表現・表現形式特有の問題を扱うことから、社会・環境・政治問題に切り込む作品が主流になりつつあるそうだ。

ソーシャルメディア界隈を眺めてもこの状況は、アートに限ったものでないと理解できる。集団の営みのあり方が問われているのだから当然の動きだろう。

井口氏は、日本のアートシーンを「いまだに戦争画を清算出来ないでいる」状態にある日本では、アートが美的価値観の縛りから抜け出せないと語っていた。

市原氏が、若干アートマーケットに言及したが、やはりという内容。益々、作品が売れなくなるだろうとの事。ため息が出る話だが、「開き直り」という「武器」を誰もが持てる状態でもある。これは、市原氏、井口氏ともに言っていた。僕もそう思う。
マーケットにおもねることなくアプローチすればよい。そのための資金作りは、様々な方法が考えられる。 「パートタイム・アーチスト」のすすめを以前書いた。今は、誰の人生であっても「アート」になりうる。人生の中から「アート」だけを切り出して別個に考えるのは無用だと思うのだ。

※TSA=美術作家・斎藤義重が晩年に独自の教育理念を具現化させた学校。東京芸術専門学校(Tokyo School of Art )