会場設営終了。「ペットボトルと旅 その2」出発の準備が整いました。乗り物酔いを防ごうと持ち歩いた水の入ったペットボトル。小さな病を未然に防ぐ工夫が表現を生みだしました。苦い思いから生まれた風景作品は、作者の三半規管に映った心象であり、また、乗り物酔いという自律神経の病の向こう側にあって知らん顔を決め込んでいる実にあっけらかんとした現実でもあります。そして、加速度による混乱は美しい抽象模様を描きます。さて、「乗り物酔い」・・・重くないだろうという第三者の予想を越えて当事者の苦しさは他のどんな疾病・苦労と同じく、他人との比較で計るものでもなく、大木さんの写真も軽やかな画面の中には目眩などが隠れているはずです。

ピンホールカメラによる大木靖子さんの写真展。21日(水)より開催いたします。

ぜひ、ご覧いただきますよう、お願い申し上げます。

大木靖子写真展「ペットボトルと旅 その2」
会期:10月21日(水)~31日(土) *休廊:26日(月)、27日(火)

時間:12時~18時30分(最終日は16時まで)

会場:ギャラリーツープラス
東京都中央区日本橋2-1-19 三幸ビル B1F

*JR東京駅八重洲北口より5分。地下鉄では、東西線・銀座線・浅草線 A7 出口(ビル内)すぐ。外に出て後ろを向くと中山眼科が見えます。中山眼科のビルを回りこんだ所に入口があります。ギャラリーツープラスと書いた、小さな青いフラッグが眼に入ると思います。正面は「下克上酒場」「洋菓子トップス」

<ステイトメント>
2012年にギャラリーSORA(現ギャラリーツープラス)にて、「ペットボトルと旅」シリーズを初めて展示しました。 私は乗り物酔いしやすく、酔い止め薬など色々試した結果、ペットボトルの水を飲むのが一番、という結論に至り、水のペットボトルを持ち歩くようになりました。そしてある日、列車の中でふと、このペットボトル越しに窓の外をのぞいたらどんな光景が見えるのだろう、と思ったのがこのシリーズの始まりです。 撮影には針穴カメラ(ピンホールカメラ)とカラーネガフィルムを用いています。針穴カメラの特性であるパンフォーカス(手前から奥まで均一に写る)を生かして接写することにより、自分の目で見るのとは異なる光景が見えてきます。 列車では窓枠にペットボトルとカメラを置いて撮影します。「駅のホームおよび駅間で撮影」など、乗車した時にルールを決めて、過ぎていく光景を撮っています。 また、私は不安を強く感じやすい性質なのですが、「ペットボトルの水を飲めば大丈夫」と思えるので、お守りのように、普段から持って歩いています。そこで今回は、列車や船だけでなく、街や公園を歩いている時に撮影した作品も展示します。 すれ違う列車が描くカラフルな線。ペットボトルに満ちる夕日。 物の見方をちょっと変えることで生まれた、すこし不思議な光景を多くの方に楽しんでいただきたいと思います。 2012年から3年間撮影した中から、銀塩カラープリント約40点、およびアクリル写真(アクリルに直接プリントしたもの)数点を展示いたします。

<プロフィール>
1971年東京都生まれ
1993年東京外国語大学外国語学部アラビア語科卒
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平塚