エゾオオカミと女性の抱擁。滅ぼされてしまったオオカミへの慈しみ。

罪の無いオオカミがなぜ滅ぼされなければならなかったのか・・・。

追いやられてしまったオオカミとアイヌの人々が二重写しになります。

作品は3重のレイヤーで構成され、画面の奥行きを無視するようにレリーフ状にモノクロとカラーのモチーフ(人物、オオカミ、花)を配置し、全体の印象が夢見た情景になるような操作です。

背景の白地が「安住の地」を暗示し、中景はこの作品の主題でモノクロ。情動を突き動かされる表情。モノクロだからこそ鑑賞者にゆだねられるリアリティ。前景の花のみ着彩され、美しく夢幻的でこの場面が夢であることを示唆しています。


羽賀文佳展「安住の地」*日・月・火曜日休み *後半:6月3日(水)~6日(土)午後12時~6時30分 最終日、午後4時まで。
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