日曜日、上野・東京都美術館で開催中の東光展を拝見してきました。
茨城のAさんが毎年招待状を送ってくださいます。Aさんは、故・森田茂先生(文化勲章受章、2009年101歳で没)の孫弟子にあたる画家で、私が奉公していた画商が森田先生の作品を中心に扱っていた縁で知り合いました。
かれこれ、30年近いお付き合いになります。
近年は、東光展を拝見するくらいになり、お話することも無くなってしまいましたが、沢山の思い出があります。当時、森田先生の郷里で盛んに先生の個展をしていた関係で私もしばしば訪問しました。地元の方々は一使用人にすぎない私を丁寧にもてなしてくださり、それは、もちろん郷里の大先生である森田先生の関係者であるからなのですが、何を勘違いしたか自分が偉くなったように感じていたものでした。思い出すと恥ずかしい。
Aさんとは年が近いこともあってよい話し相手になっていただきました。
Aさんは正規の美術教育は受けておらず、中学か高校の教師から画家に転進したB先生に徒弟として入門し修業したかたです。
描く絵は肌合いの滑らかな、柔らかく、透明感のある写実絵画で、作者の優しい眼差しが画面から溢れ出るような作品です。人物画と花の絵をよく描かれていました。東光展などへ出品する大作は人物。小品は花の絵と分けてらしたと思います。
花の絵をデパートに持ってゆくと好評で購入してくださるお客様も多かった。売れた時は、我が事のように嬉しかったですね。
さて、今年の東光展ですが、もう、役割を終えたというのか、新鮮味も無く、印象的な作品も無く、将来性も…とネガティブな感想になってしまうのですが、「懐かしい」という気持ちだけは持ち帰ることが出来ました。
大作群。それは、身近な人を描いたと思われる人物画であったり、エキゾチックな風景画、静かな川面、田園風景、漁村、農村など。
奉公していた頃は、この作家の中から商売に結びつく人がいるかもしれない、見逃してはならないとドキドキしながら見たものです。そんな気持ちがよみがえって、タイムスリップした心持でした。 
toukouten